平成5年に独立して【積算】と【施工図】と【住宅の設計】を主にした建築事務所を開設した。これであの息苦しいサラリーマン生活とは縁が切れると思ったが、現実は厳しかった。資金的に余裕があって独立したわけではなく、逆に借金を返す為に独立したので、常に資金繰りに行き詰った。地元の大工さんなどからの依頼の場合、仕事をしてもいつ金を支払ってくれるのかがあいまいだった。そんな中、直前まで勤めていた型枠工事会社からの積算の依頼は、支払いもはっきりしていてありがたかった。1人で複数の物件をこなさねばならないので一晩中徹夜することも度々だった。自分を信用して仕事を依頼されるのだからそのまま外注に出すことには抵抗があった。そんな中で、知り合いの紹介で設計監理まで含めた住宅の設計を数件依頼された。大工さんからの依頼の場合は大抵「確認申請をとってもらいたい」とか「住宅金融公庫の手続きをしてもらいたい」と言うものだが、こちらは施主から直接依頼され、最初から最後まで責任がある。私の住宅設計におけるポリシーは<デザインだけのものは作らない>というものだ。必ず実用本位でそれがデザインとしても生きてくるようなものでなければならない、ということだ。そのポリシーは今でも生きている。
実質6年間のこの時代は1と2のサラリーマン生活の修行時代の成果として自分らしさを出し始めたように思える。
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